――図書館――…06/6/16












パラパラと頁を捲り、閉じ、本棚に戻す。
其の行為を何度か繰り返した。
ハーマイオニーは小さく溜息をつき、本棚を見渡す。
「どうしてないのかしら…」
先日まであった本が見つからないのだ。
誰かに借りられたのかもしれない。
「どうしよう…」
今日までに仕上げたいレポートがあるのだ。
うぅー、と軽く唸ってみる。



「ハーマイオニー?」



ぽんっと誰かが彼女の肩を叩いた。










「キャッッ!!!」










驚いた顔で振り向く。









「え、何!?」










赤毛の少年が目を真ん丸くして、同じように驚く。
「ロン! …驚いたぁ」
ハーマイオニーは胸をなでおろし、小さく笑った。
「何してんの?」
「見て判らない? 本を探してるのよ」
「ふ〜ん…」
ロンは本棚を物色する。
難しい本だらけだ。
自分には無関係な場所。
しかし、彼女にとっては魅力的な場所なんだろう。
少し嫉妬する。
(本に嫉妬してどうすんのさ…)
ロンははぁ、と小さく溜息をついた。
「あ、ロン!」
ハーマイオニーがあっ、と声を上げる。
その声でロンは現実に引き戻された。
「ん? 何?」
「本、あったわ!」
「何処?」
「あそこ」
ピョンピョンと飛び跳ね、本をとろうとする。
でも全く届いていない。
其れも当然。
一番上の棚にあるのだから。
ロンはハーマイオニーの姿を見て、苦笑いした。
ハーマイオニーの後ろに立ち、手を伸ばす。
「これ?」
ハーマイオニーが顔を上げると、ロンの顔があった。
思わず顔を逸らし、俯く。
心臓の音が煩い。
「ハーマイオニー?」
「そう!! それ」
俯いたまま、壊れた人形のように頷く。
「とれた。…どうかした?」
本片手にロンはハーマイオニーの顔を覗き込む。
「あ、ありがとう!」
顔を真っ赤にして、ロンに背を向ける。













「あ!」












パタパタと走って、脚立に乗り、手を伸ばす。
ロンは後を追う。
「何してんの?」
ロンは首をかしげながら、声をかけた。
ハーマイオニーの様子がおかしい。
「あれ! あの本も借りるの」
腕を伸ばし、本を掴む。
「届いた」
「言ってくれたらとったのに」
「届いたからいいでしょ」
「ま、それはそうだけど」
勢いよく振り向いた。
それと本が手から落ちる。
「あ」
それをとろうと、手を伸ばす。
グラリと足元がゆれる。
とっさに本棚の本を掴む。
当たり前だが、それも落ちて。
他の本を巻き込んで。











「え…」

























「危ない!」




























ロンが叫ぶ。
バランスを崩す。
身体が宙に浮く。
大量の本と共に落下した。
目の前に天井が広がる。
痛みはない。
逆にぬくもりを感じた。
「大丈夫?」
耳元で誰かに囁かれた。
「ロン!」
がばっ、と立ち上がる。
「ごめんなさい! 大丈夫?」
「え、あ、うん…」
「本当に? 怪我はない?」
ロンの身体を触りまくる。
焦っている。
何時もと違う。
「ハーマイオニー!?」
顔を真っ赤にして、後ずさりした。
「血、出てるじゃない!」
ハーマイオニーの身体が凍りつく。
「大丈夫なの!?」
ロンは腕を見る。
ほんの少しだけ血が出ていた。
でもすぐ止まるだろう。
其処まで心配するほどのことでもない。












「あー格好悪……」











ぼそっ、と呟く。
もっと格好良く助けたかった。
好きな子には格好良い姿を見せたい。
なのに、この有様。
格好悪すぎる。
助けて、怪我して、心配されたらわけない。
小さく溜息をついた。
「ロン…?」
「大丈夫だよ、ウン。大丈夫」
「良かった…」
本気で心配したのか、力が抜けたように笑った。
ロンもつられて笑う。
「あんま無理しないでよね」
頭をかきながら、ハーマイオニーに忠告する。
こんなことが何度もあったら、心臓がもたない。
ただでさえ、彼女は無茶をするのだから、
ロンやハリーには無茶するな、というのに。
「ロンに言われなくても判ってるわよ」
すくっ、と立ち上がり、ふわふわの髪をなびかせ、歩き出す。
耳まで赤くなっている。
ロンはそのことに気付くはずもなく。
「ちょっ、ハーマイオニー!? この本は?」
ロンの言葉にハーマイオニーが振り返る。
「本、借りに行くのよ。戻ってくるわ。それまで片付けてて」
にっこりと笑って話すハーマイオニー。
ロンはくしゃくしゃと頭をかき、溜息をついた。












「いいでしょ?」










この笑顔には勝てない。














「イッテラッシャ〜イ……」











諦めたように言う。














「行ってきますvv」













ヒラヒラと手を振ると、ハーマイオニーが走る音が聴こえた。
















「はぁ………」
















もう一度大きなため息をつき、重い腰をあげた。

































【アトガキ】
図書館、といったらロンハー。
と雪弥ちゃんからのリクエスト。
楽しい!!ラブラブ。
でもちゃんとロンは尻にひかれてます(笑)
ハー子が何時もより乙女(何)こんな2人も如何でしょうvv
気に入っていただけたら嬉しいです。
それでわ。
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